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『 地主と家主 』2026年08月号に掲載いただきました

こんにちは、<Kizuki>代表の小泉です。

このたび、賃貸不動産オーナー向け経営情報誌『地主と家主』2026年8月号に、私たちが取り組む高性能賃貸住宅「Kizuki Terracehouse(キズキ テラスハウス)」をご紹介いただきました。

記事では、なぜ私たちが自ら賃貸住宅を建て、所有し、運営しているのか。その背景にある私たちの思想や、これからの賃貸経営に必要だと考えている視点について、非常に丁寧に取り上げていただいています。ここでは掲載記事の内容をそのまま抜粋するのではなく、今回の取材を通じて、私があらためて強くお伝えしたいと感じた本質的な想いについて書きたいと思います。

私たちが掲げている志は、「100年後の子どもたちに責任を持ち、豊かにする」ことです。

工務店の志としては、少し壮大に聞こえるかもしれません。しかし、この言葉には、私自身の家庭環境や、地域の住環境の変化に対して抱いてきた強い危機感と違和感が込められています。

私たちが拠点を置く横浜市郊外では、都市開発が進み、利便性が高まる一方で、地価や建築費も上昇しています。その結果、良質な住環境を求めながらも、それを容易に選べる人が限られつつあるのが現状です。

特に日本の賃貸住宅市場においては、建築費や表面利回りが最優先され、断熱・気密性能や素材、空間の質は後回しにされがちです。しかし、賃貸住宅であっても、そこを大切な住まいとして選び、家族と日々を重ね、子どもを育てるかけがえのない暮らしがあります。持ち家か、賃貸かにかかわらず、誰もが良質な住環境を選べる社会にしたい――。そう強く願い、私たちは2022年から、高性能な住宅を「賃貸」という形で届ける事業に取り組み始めました。それが、Kizuki Terracehouseの出発点です。

私たちは、賃貸住宅における断熱・気密性能の追求に徹底してこだわっています。代表的な建物では、UA値0.20W/(㎡・K)、断熱等性能等級7相当、C値0.2㎠/㎡台という高い気密性能を実現しました。

しかし、この性能数値を高めること自体が目的ではありません。暖かく、安心して眠れること。家の中の温度差が少なく、健康的に暮らせること。少ないエネルギーで快適な室温を保ち、光熱費を大幅に抑えられること。そして、そこで生まれた家計の余裕を、家族で出かけることや、子どもの教育、さまざまな体験に使えること。私は、住まいの性能向上によって生み出される、こうした家計や時間の精神的なゆとりを「余白」と呼んでいます。

その余白を、建物やオーナー側だけの利益にとどめず、実際にそこで暮らす人々へ還元していく。それこそが、私たちの考える「豊かさの再分配」です。おかげさまでこうした思想と取り組みを評価いただき、「Kizuki Terracehouse 桜台」は、第9回日本エコハウス大賞にてグランプリをいただくことができました。

もちろん、賃貸住宅を事業として継続させていく以上、ビジネスとして成立させる視点は欠かせません。建築費、借入、金利、家賃設定、想定空室率、維持管理費、さらには将来の修繕費まで、現実的なシミュレーションを行う必要があります。

しかし一方で、目先の表面利回りだけで、その建物が生み出す価値のすべてを測ることはできません。私たちは、オーナー側の収益だけでなく、入居者が享受する光熱費削減をはじめとした便益も含めて、その事業が社会全体に生み出す本質的な価値を捉えようとしています。そのために私たちが着目している指標の一つが、「社会IRR(社会的内部収益率)」です。

ただし、家族の温かい関係や子どもたちの体験、そこで育まれる記憶まで、すべてを数字に置き換えられるわけではありません。数値化できる事業性と、数値には表れにくい暮らしの価値。その両方を重ね合わせて捉えることこそが、これからの時代における賃貸経営に求められているのではないでしょうか。

私たちが家づくりにおいて何よりも大切にしているものの一つが、家と家族の関係性です。

実は、私は子どもの頃、家の中で家族との絆や関係を十分に育むことができませんでした。そのため、当時の私には、「家が家族の関係を育てる場所である」という価値観そのものがありませんでした。その価値に初めて触れたのは、後に妻となる女性と出会い、彼女の家族が自然に笑い合いながら過ごす温かな姿を目にしたときでした。

家とは、ただの雨風をしのぐ箱ではない。家族が互いの気配を感じ、言葉を交わし、時間を重ねて関係を育む場所なのだ。そう深く気づかされたことが、今の私の家づくりの原点になっています。

Kizuki Terracehouseの設計において、吹き抜けを大切にしているのもそのためです。収益性や効率性だけを考えれば、吹き抜けは決して効率的な空間ではありません。それでも、上下階にいても家族の声や足音が優しく伝わり、夕食の香りが家の中に広がることで、同じ場所にいなくても常に互いの存在を身近に感じることができます。

私たちが設計したいのは、単に広い空間ではなく、「家族の距離」です。

家族の声、食事の匂い、窓から差し込む四季の光、誰かが帰ってきた玄関の音。その瞬間には何気ない日常の1ページであっても、子どもが成長し、やがて家を離れた後に、ふと思い出して心を温めることがあります。今この家で積み重ねられている何気ない時間が、未来のある日、その人を支える大切な記憶になる。私たちは、それを「未来の記憶」と呼んでいます。

そして、私たちはただ設計・施工するだけでなく、自ら土地を取得し、資金を調達し、その賃貸住宅を所有・運営し続けています。それは、建てた後の責任から生涯逃げないという覚悟の表れでもあります。

住まいの本当の価値は、完成した瞬間には決まりません。人が住み、季節が巡り、丁寧に手入れされ、地域との豊かな関係が育つ中で、少しずつ証明されていくものです。性能や設計の価値を、建築時の言葉だけで終わらせない。実際の暮らしと長期にわたる運営を通して、自らの手で確かめ、体現し続ける。そこに、工務店が自らオーナーになる大きな意味があると考えています。

現在、Kizuki Terracehouseは横浜市内で複数棟が竣工・計画中です。また、地元の不動産オーナー様をはじめ、他の地域からも高性能賃貸に関するご相談をいただく機会が大変増えてきました。

一棟一棟の実践を積み重ねながら、良質な賃貸住宅をしっかりと地域に残していくこと。そして、そこで得られた知見や利益を、次の建物や地域社会へ循環させていくこと。それもまた、地域に根差す工務店が果たすべき、大切な役割であると確信しています。

私たちが大切にしているのは、収益性や効率だけでは測れない住まいの価値です。高性能化によって生まれた「余白」を、暮らす人へ還元すること。何気ない家族の日常を、子どもたちの「未来の記憶」として残すこと。工務店という地域に根差した立場だからこそ、引き起こせる住環境の変革があると信じています。

これからもKizuki Terracehouseを通じて、「豊かさの再分配」と「未来の記憶」を、次の世代へ確かに手渡していきます。

今回、『地主と家主』に掲載いただいた記事では、Kizuki Terracehouseの具体的な設計手法や、その背景にある経営思想について、さらに詳しくご紹介いただいています。ぜひ、賃貸不動産オーナー向け経営情報誌『地主と家主』2026年8月号をお手に取ってご高覧いただけますと幸いです。

 

 

 

 

地主と家主 2026年 08 月号 [雑誌]

『 地主と家主 』2026年08月号

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