2026/10/16(金)
【災害への備え編】停電しても、お湯は使えるってご存知でしたか?

こんにちは、〈Kizuki〉代表の小泉です。
このところ、大雨や台風、地震など、自然災害について考えさせられる機会が増えています。
先日のつぶやきコラムでは、水害に遭った住宅をどう守るのか、被災後の最初の48時間に何をすべきかについて書きました。
災害が起きた「あと」に、私たち工務店がどう動くのか。
今回は、その一歩手前。災害が起きる「前」に、住宅そのものに何を備えておけるのか。そのことについて書きたいと思います。
停電したら、お湯も使えなくなる?

災害によって停電が起きたとき、「電気が止まれば、お湯も使えない」そう思われている方は多いのではないでしょうか。
実は、私たちが標準仕様として採用しているPanasonicのエコキュートは、停電しても、断水しておらずタンク内にお湯が残っていれば、シャワーや蛇口からお湯を使うことができます。
もちろん、平常時とまったく同じではありません。
停電中は新たにお湯を沸かすことはできませんし、ふろ自動や追いだきもできません。
また、湯温の調節ができないため、使用するときには必ず温度を確認する必要があります。
それでも、停電した瞬間に、お湯のある暮らしがすべて失われるわけではない。
これは、非常時には大きな意味を持つのではないのでしょうか。
「お湯をつくる機械」であると同時に、「蓄えている設備」でもある

エコキュートには、沸かしたお湯を貯めておく大きな貯湯タンクがあります。
普段は、このタンクの存在を意識することはほとんどありません。必要なときに蛇口をひねればお湯が出る。日常では、それで十分だからです。
しかし、災害によってインフラが不安定になった瞬間、その意味が変わります。
停電しても給水が続いていれば、タンクに残ったお湯を使える。
さらに断水してしまった場合でも、タンク内の湯水を非常用取水栓から取り出し、生活用水として使うことができます。飲用することはできませんが、非常時に一定量の水を住宅の中に確保していることになります。
意外と知られていないことだと思いますが、エコキュートは、平時には高効率な給湯設備でありながら、非常時には「お湯や水を蓄えている設備」という、もう一つの役割を持っているのです。
いつもの設備が、非常時にも役立つ「備え」
防災用品として、非常食や飲料水、懐中電灯、モバイルバッテリーなどを用意しているご家庭は多いと思います。
けれど住宅をつくる側として考えると、防災にはもう一つの考え方があると思っています。
普段使っている住宅そのものに、非常時にも役立つ機能を組み込んでおくことです。
災害のためだけに特別な設備を置くのではなく、毎日の暮らしを快適にし、省エネルギーにも貢献している設備が、いざというときには暮らしを支える側に回る。
私は、こうした備え方はとても合理的だと思っています。
ただし、設備が家についているだけでは十分ではありません。
災害が起きてから初めて、「そういえば、このタンクの水は使えるのだろうか」と取扱説明書を探していては、せっかくの機能を十分に活かせないかもしれません。
Panasonicのエコキュートでは、断水時にタンク内の湯水を取り出すための非常用取水栓が設けられています。
また、対応機種では、専用アプリと気象警報・注意報を連携させ、災害が予想される際に自動で沸き上げを行い、お湯を確保しておく機能も用意されています。
設備を採用することと、その意味を知っていること。
この二つが揃って初めて、本当の「備え」になるのだと思います。
私たちも、お引き渡しするときに住宅設備の使い方を説明するだけではなく、もし停電したら、この家で何ができるのか。もし断水したら、どこから水を取り出せるのか。
そこまでお伝えしていく必要があると、あらためて感じています。
住宅性能は、「何も起きない日」だけのためにあるのではない

私たちは、耐震性や断熱性、気密性、省エネルギー性能を大切にして家をつくっています。
しかし、高性能住宅の価値は、毎月の光熱費がいくら安くなるか、冬に室温が何度になるか、といった数字だけで測るものではないと思っています。
真夏に停電したとき。
真冬にエネルギー供給が不安定になったとき。
断水したとき。
大きな地震のあと、すぐには元の生活に戻れないとき。
社会のインフラが弱くなったときに、その家の中でどこまで暮らしを維持できるのか。そこまで含めて、住宅性能だと私は考えています。
断熱性能が高ければ、外気温の影響を受けにくくなる。耐震性能が高ければ、大きな地震のあとにも、その家に住み続けられる可能性を高められる。
そして貯湯式のエコキュートであれば、停電や断水の状況によっては、タンクに残されたお湯や水を利用することができる。
一つひとつは別々の性能や設備に見えます。
けれど非常時という視点から見ると、すべてが、暮らしを途切れさせないための力につながっていきます。
災害に絶対に負けない住宅をつくることはできません。けれど、何かが起きたときに、暮らしが一気にゼロになってしまわない住宅を考えることはできます。
普段は、その存在を意識することはなくても、必要になった瞬間には、確かに暮らしを支えてくれる。
家を建てるときから、一つずつ備えておく。
そうした小さな余白を、あらかじめ住宅の中につくっておくこと。
それも、これからの家づくりに必要な「性能」の一つなのではないかと思っています。
※停電時・断水時に利用できる機能や操作方法は、機種、設置条件、給水方式などによって異なります。特に停電時のシャワー・蛇口からの出湯は、給水が継続していることが前提となります。
また、非常用取水栓から取り出したタンク内の湯水は飲用できません。実際の使用時には、必ず各機種の取扱説明書をご確認ください。

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