代表取締役
小泉 武彦 Koizumi Takehiko
コラム
こんにちは、<Kizuki>の小泉です。今回は、Kizuki賃貸事業で使用する外壁材の選定及びその理由についてお伝えいたします。
先日(4月30日)のコラムにて、Kizukiの賃貸事業についてお伝えをしました。(https://kizuki-home.co.jp/column/p2902/)
その事業の中で、大切な要素である「風景を創り出す外壁」に張る木材は何が相応しいのか。事業の計画を開始した初期の頃からずっと考えてきたことでした。
そしてその課題の答えは、
Kizukiの志「100年後の子供たちに責任を持ち、豊かにする」に相応しい、未来に繋げたい木にしよう。
(少しお話しを本題から外して)ご存じの方がおられるかもしれませんが、私の仕事以外の生きがいのひとつが自然に触れること、その中でも山登りが大切な僕の一部です。登山をやる者が憧れる山として九州最高峰、宮之浦岳という山があります。
宮之浦岳をはじめとする1,000m級の山々を40山以上も連ね「洋上のアルプス」とも呼ばれ、冬には積雪もある屋久島は、島の面積の約2割が世界自然遺産地域として登録されております。屋久島と言えば、縄文杉を代表とする屋久杉を想像される方も多いかと思います。材木屋としても一度は訪れ、その原生林の空気と屋久杉に触れてみたいと考えておりました。屋久杉のことを調べる中で、人による伐採の歴史と再生の取り組みがあることを知りました。
お話しを本題に戻しますと、その屋久島の「少しの一面」を知っていた私のもとに、自然素材を取り扱うチャネルオリジナル株式会社さんの担当者さんから「屋久島地杉」と呼ばれる杉が存在することをお聞きしたのです。
「屋久島地杉」の詳細についてはここでは割愛いたしますが、このコラムを読んでくださる方は是非、メッセージが満載のチャネルオリジナルさんのHPを是非見てください。(https://www.channel-o.co.jp/yakushimajisugi)
日本各地どの地域の課題としても、一度人が手を入れた森林が存在し、人が手を入れ続けないと守られない現実があります。僕が知らなかった、屋久島の人が手を入れてきた森林・山。それを取り巻く多くの課題とそれに挑戦する方々。
日本が世界に誇る自然遺産である屋久島の自然。1,000年以上育ち守られてきた屋久杉と、それ以下の小杉という存在、そしてもっと若い50-60年生は「屋久島地杉」と呼ばれていること。
その「屋久島地杉」だけを活性化させ、自然保護をしながら、屋久島の循環経済にも還元させていく。その想いと現場の課題を是非現場の方々からお聞きし、体感し、横浜で家づくりをしている者だからこそできるお手伝いをしたいと思い、屋久島へと向かいました。
屋久島へ着き向かったのが、先に紹介いたしましたチャネルオリジナル株式会社さんのグループ会社である、株式会社屋久島地杉加工センター(以下加工センター)さん。
山で木こりさん(以下専門的に山師さんと呼びます)が伐採した杉をどのようにお金に換えていくのか。
離島であるが故、伐採した木をどのように運ぶのか。ひとつは丸太のまま船に載せ運ぶ。これでは積載時に隙間が多くなり「空気を運んでいるようなもの」と言われるほどの状況です。(これは私の主観ですが)素材のままでは対価としてのお金の額に限度があります。そこで丸太ではなく、屋久島で製材加工までして、輸送コストを減らす工夫とともに、付加価値を作り森林関係者に利益を還元することを目的として「株式会社屋久島地杉加工センター」が設立されました。
当日は加工センターの責任者で、取締役でもある時さんに現在と未来の課題とその取り組みについてお話しを伺い、伐採現場までご案内をいただきました。課題詳細については、私が皆様にお伝えできるほど深く理解できていない部分もあるため省略いたしますが、今後もっと現地での体験や対話からお伝えできるようになった時、改めたいと考えております。
1点だけ、時さんのお言葉をお借りすると、
「最大の課題は、林業従事者達の危機意識が低いことだと思っている。」
加工センター時さんから幾度となく出て、とても印象深く残っているお言葉として、
「山師として、どうしてやってきたのか。そして我々がなぜ製材をしているのか」という、加工センターの若いスタッフさんへの問いかけでした。林業・山師という仕事は、今日明日だけではなく、もっと長い時間を作るものなんだと。伐採し、植林してから50-60年後の未来を作るのが我々の仕事・役割なんだと、そう問い掛けてくださいました。
横浜で家づくりを通し、100年後の子供たちを想い、その未来を作りたいと考えている僕たちKizukiと全く同じ考えでした。僕たちは78年の事業の中で、まだ何一つ結果も残せていないかもしれません。しかし彼ら山師さん達は、数百年に渡って脈々とその意思を後世へ伝え、結果を残されてきました。それは山師さんの言葉だけでなく、僕が現地で体験した山そのものが示していました。
私たちKizukiは、賃貸事業における外壁材に「屋久島地杉」を使用することで、その通ずる想いや願いを、私たちだからできる方法で未来に繋げていきたいと考えております。
ぜひ、<Kizuki>と一緒に「100年後も資産価値が続く家」について考え、次世代に残せる家づくりを進めてみませんか。
今回の視察に際し、お力添えをいただきましたチャネルオリジナル株式会社小林さん、加工センターの時さんには改めて厚く御礼申し上げます。屋久島地杉PROJECTを支える皆様の取り組みが多くの方々の目に触れ、その想いが未来へと繋がることを願っております。
このコラムの場ではお伝えしきれない多くの課題や困難があるとお聞きしました。先人の山師さん達が受け継いできたように、このプロジェクトを支える皆様の想いも受け継がれ、屋久島の自然のように、皆様が豊かになるよう願いを込めて。
最後に、私がこの視察中に知った「屋久島憲章」を是非皆様に知っていただきたく、ご紹介いたします。現在を生きる我々が100年後の未来を願うこと。とても考えさせられる言葉があります。屋久島へ行かれるかたは、この憲章を記憶の隅に置いて行かれることをお勧めします。
「屋久島憲章」
前文
地球と人類の宝物である屋久島。
この島は、周囲132㎞、面積503㎞2の日本で5番目に大きい島である。
屋久杉を象徴とする森厳な大自然に抱かれ、神々に頭をたれ、流れに身を浄め大海の恵みに日々を委ねて人々が生きた島。
この島は、はるかな昔から人々の魂を揺さぶりつづけ、近世森林の保全と活用で人々が苦しみ葛藤した島である。そして今、物質文明の荒波をようように免れた屋久島は、その存在そのものが人間に対する啓示であり、地球的テーマそのものである。
この島に住む私たちは、この屋久島の価値と役割を正しくとらえ、自らの信念と生きざまによって、この島の自然と歴史に立脚した確かな歩を始める。そのため、この島の自然と環境を私たちの基本的資産として、この資産の価値を高めながら、うまく活用して生活の総合的な活動の範囲を拡大し、水準を引き上げていくことを原則としたい。 この原則は、行政機関はもちろん、屋久島に係わる全ての人々が守るべき原則でありたい。
国の自然遺産への登録も、鹿児島県の環境文化村構想も、この原則を尊重し、理想へ向けて、その水準を高く 100 年の計を誤らず推進されることを願うものであり、これを契機として、次のことを目標とし、ここに屋久島憲章を定めます。
条文 1 わたくしたちは、島づくりの指標として、いつでもどこでもおいしい水が飲め、人々が感動を得られるような、水環境の保全と創造につとめ、そのことによって屋久島の価値を問いつづけます。
2 わたくしたちは、自然とのかかわりかたを身につけた子供たちが、夢と希望を抱き世界の子供たちにとって憧れであるような豊かな地域社会をつくります。
3 わたくしたちは、歴史と伝統を大切にし、自然資源と環境の恵みを活かし、その価値を損なうことのない、永続できる島づくりを進めます。
4 わたくしたちは、自然と人間が共生する豊かで個性的な情報を提供し、全世界の人々と交流を深めます。
代表取締役
小泉 武彦 Koizumi Takehiko
断熱・気密・耐震など
現時点で提供できる最高クラス
の性能を実現
100年後も資産価値が続く家を目指すため、今の基準で家を建てるのではなく、30年先に求められる基準で設計を行なっています。例えば、断熱等級7、耐震等級3、耐風等級2など現時点で提供できる最高クラスの性能を実現。もちろん数字だけにこだわるのではなく、お客さまが快適に暮らせること、その快適さが持続するために必要な性能を逆算して家を建てています。
その中でもKizukiは、空調を使わずとも冬の室温を18℃に保てる家にすることを一番大切にしています。寒い家だと快適性が損なわれるだけでなく、エネルギーを大量に消費し、光熱費がかさんでしまいます。日本の冬の平均的な室温が約10℃の中、Kizukiでは持続可能な家を実現するために、たとえ日射量が少ない場所でも最適・最高の温度となるように設計いたします。
マンションの修繕計画のような
メンテナンス計画で
長期的な費用を抑える
Kizukiではただ高性能な家を建てるだけでなく、「どのタイミングでどのようなメンテナンスが必要になる」のかを考慮したメンテナンス計画を建築前に行なっています。不意に高額なメンテナンス費が発生するのではなく、細かくメンテナンスを実施することで長期的なコスト(ライフサイクルコスト)を抑えます。
家を建てる際に使う部材には本来耐用年数があります。しかし、事前にそれらが考慮されることはありません。Kizukiの家は部材の耐用年数をきちんと定め、交換しやすいように設計・施工するため、いざ交換という場合に大掛かりな工事や費用が発生することを防ぎます。